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「虹」第30号

カテゴリ:機関紙『虹』

虹30号

  • 原発を考える[理事長 河原克美]
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  • 特集 イベントレポート(イリスもとまち・イリス北8条・イリス南郷通)
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原発を考える

「3月から5月にかけては春という季節だが総じて寒気や気圧の谷の影響を受けやすく、曇や雨あるいは雪の日が多かった。このため北日本、日本海側では春の日照時間はかなり少なかった」と気象庁が『日本の季節の天候』で今年の春の天候の特徴をまとめていたが、4月27日から5月6日までのゴールデンウィークの北海道は異例の低温や悪天候に見舞われ、札幌ではこの10日間は毎日降雪が観測され、最高気温が10℃を超えたのは5月5日だけであった。

6月・7月と夏の季節が進んできたが、梅雨明けの日は九州北部で平年より13日早く、東海・近畿・四国と九州を含め7月6日から9日となっている。気象庁によるとフィリピン附近の活発な対流活動の影響などから平年より太平洋高気圧の勢力が強まったためとのことである。

北海道は7月8日午前、高気圧の影響で全道的に晴れ、道内172の観測点のうち40地点で真夏日となり石狩市では32.7℃で観測史上最高となったほか、札幌市で33.1℃となった。
翌9日の夜から10日にかけては高温多湿で9日午前零時の札幌は気温26.8℃で平年より8.5℃も高く湿度は朝方にかけて80%を超えたが、ほとんど全道的現象で日本列島の亜熱帯化が現実味を帯びた感じであった。

原発の新規制基準が7月8日に施行され、北海道・関西・四国・九州の四電力が5原発10基について再稼働の前提となる適合審査を原子力規制委員会に申請した。各社の提出した申請書では想定する地震の揺れはいずれも3・11以前と変わらず、多くの原発は緊急時対策所も未完成で代替施設で対処するとしている。北電は泊原発の想定する津波の高さは詳しい計測の結果最大9.8㍍から7.3㍍に下げているとのことである。そもそも原発に絶対安全はあり得ない。人間は放射能を無害にする能力は持ち合わせていない。福島の事故から二年半近く経ったが、止まらない放射能の放出、溜まり続ける汚染水、深刻な労働者被曝、持って行くところがない除染による放射性廃棄物、被爆地に住まざるを得ない人びと、子どもたちの甲状腺の膿胞や結節や癌、進まない正当な賠償、支援策の外に置かれる自主避難者、引き裂かれる人びとのつながり――二度と原発事故を起こしてはならないにもかかわらず規制基準に「新」を付けて新しい安全神話を造り上げ、原発再開の道を開き、厚かましくも原発を他国に輸出しようと躍起になる、この無神経さは驚くばかりである。

6月8日の報道で米国の原発2基が廃炉となることを知った。「三菱重工業製の装置に異常」北海道新聞の見出しである。早期再稼働を目指したが東京電力福島第一原発事故を受け安全性への懸念を強めた周辺住民が反発、米原子力規制委員会の許可を得られず再稼働を断念した、とのことである。

福島から北海道に避難して生活している13世帯43人の人達が6月21日、慰謝料や以前の生活水準を取り戻すための費用として総額7億9,500万円の損害賠償を求める訴訟を札幌地裁に起こした。原発事故がなければ故郷を離れてつらい生活を強いられることはなかったのだ。

北海道新聞の「記者の視点」に関口裕治記者が「原発事故の放射能汚染―国民を守る罰則の整理を」として書いている中に「これまで国は常に原子力を推進する方向で法律を整備して来た」「法律は放射能汚染から国民を守るためにではなく汚染を与えた電力会社を守る仕組みになっている」と九州大学の吉岡副学長の言葉を紹介している。そして今、北電泊原発が放射能汚染を起こした場合に備えて汚染を起こした電力会社への罰則規定を盛り込んだ「放射能汚染防止法」の制度を目指し国や政治家に働きかけてしている動き―山本弁護士と市民団体の動き―に触れている。

私は「泊原発の全炉廃炉を求める訴訟団」に原告のひとりとして参加している。その後お誘いがあって福島原発告訴団にも加わることになった。福島の方は東京電力の経営陣、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、原子力委員会など原発を推進してきた人たちを業務上過失致死傷罪で告訴した。海に汚水を捨てれば海を汚すから不法投棄であり罰せられる。放射能が大気、大地、河川を汚染しても不法行為にならないのは大問題である。私は訴訟団に加わり、私でも出来る手段で不条理に立ち向かうことにした。よりよい生活と平和を求める生協人でありたいと願っての事である。

石楠花の 花散り落ちて 夏祭

(文)理事長 河原克美