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「虹」第34号

カテゴリ:機関紙『虹』

虹34号

  • 大事な二題[特別顧問 河原克美]
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  • 旅語り【「いつかゆっくりと」を求めて〈出雲〉】
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大事な二題

7月16日、原子力規制委員会は九州電力川内原発(鹿児島)の審査書案を了承、つまりこの原発の安全性に関する最低限の要求に対してOKを出した。福島第一原発の影響で停止中のすべての原発を再稼働する先駆けとなる可能性が見えて来たわけである。しかし火山対策や避難計画など防災体制はこのOKには含まれていない。そもそもこの委員会の審査対象は原発内部に限られ、避難計画などは自治体まかせなのだ。事故の影響は立地県にとどまるものではなく、自治体まかせは無責任である。
そもそも放射性物質を人間の力では無害にすることが出来ないにもかかわらず真剣に弄んで来た”原子力村”の人びとも、立地自治体の人びとも、広くは国民一人ひとりも考えてみる必要があるのではないかと思う。

5月21日、関西電力の大飯原発3・4号機稼働差し止め裁判で福井地裁が出した判決は冒頭から、「生存を基礎とする人格権が公法・私法を問わず、すべての法分野において最高の価値を持つ」と述べ、被害をもたらす施設の運転差し止めを求める権利が住民にあり、原発の稼働は電気をつくるための経済活動の自由に属するもので「憲法上は人格権の中核部分より劣位に置かれるべきものである」と明快な表現で原告勝訴の判決を下した。理論的で高い倫理観に感服した。

特定秘密保護法に続き集団的自衛権行使容認を憲法解釈で押し切ろうとする意図。武器輸出三原則は一定の条件が満たされれば輸出を認める内容で4月1日閣議決定した。憲法改正の国民投票は賛成3分の2超を過半数にする改正案を固めている。平和を守る国から戦争をする国へ転換させようとの意図である。

7月1日、安倍内閣は集団的自衛権行使の憲法解釈変更の閣議決定を行った。1972年から守って来た「わが国が攻撃を受けた時のみ自衛のために自衛隊が武力行使できる個別的自衛権」の行使である。1981年衆議院で「集団的自衛権の行使は許されない」と確定した。しかし、今回の閣議決定は他国の戦争に自衛隊が参加し、海外で米軍と同じ戦場で他国と戦争する可能性に道を開くものである。

7月1日付で北海道生協連会長・浅田信二さんが会員生協各位として発した所感の中に「第一に、戦後の歴代政権が集団的自衛権は『憲法解釈上、行使出来ない』として来た事を、国民論議や憲法改正の手続きを踏む事もなく私的懇談会の報告や一内閣の閣議決定で推進しようとする立憲国家・議会制民主主義を無視する行動です。第二に、自衛隊の武力行使を日本に対する武力攻撃に限定している現行の自衛権発動の要件を根本から崩し無定限の武力行使を認め、日本国民が太平洋戦争の多くの犠牲の上で勝ち取り国際的にも評価されている平和憲法の精神を無視するものです。第三に戦前戦中の貴重な教訓に学び、戦後一貫して平和問題に取り組み〝平和なくしてより良き生活はあり得ない〟として来た生協運動の基本理念とは相容れないものであり、生協人として見過ごせない内容となっています――後略」 以て銘すべきである。

雨あがり 葉うら涼しき 夏の風

(文)特別顧問 河原克美