HOME  »  福祉生協イリスからのご案内  »  機関紙『虹』  »  「虹」第27号

「虹」第27号

カテゴリ:機関紙『虹』

虹27号

  • 異常気象と原発ゼロを考える[理事長 河原克美]
  • 特集 私たちが「イリス南郷通」を支えます 新ホームのスタッフをご紹介します
  • エッセイ 「白石」の誕生と「南郷」のこと[理事長 河原克美]
  • 〈その他〉イリスもとまち・イリス北8条、夏まつりレポート

異常気象と原発ゼロを考える

イリスの情報誌9月号に「瓜苦し秋の暑さを羞らいて」と愚作を一句付けたが、盆が過ぎたら秋風が吹くと言われ続けたこの北国の表現をうらめしく思うほど暑さが続いた。

8月30日、太平洋高気圧に覆われた北海道は、常呂34.6℃、札幌32.9℃など道内92観測点の過半で真夏日と報じられたが、翌9月1日も同様で共和町で32.5℃など道央、道南で真夏日となり、浦河では1950年8月の過去の最高記録を60年ぶりに更新した。

日本列島のこの夏の異常気象は梅雨前線が停滞した7月、九州での記録的な集中豪雨で始まった。8月も豪雨災害が続き、熱中症で搬送される人が相次ぐ猛暑であった。

「異常気象」とは30年間に一度あるかどうかの気象現象と定義されているが、気象庁の発表によると今年の異常気象は北半球上空を吹く偏西風の流れが数ヶ月間南北方向に蛇行した状態が続いたのが要因で、5月から7月にはオホーツク海高気圧がたびたび停滞し、大気が不安定になって竜巻や記録的な豪雨という異常気象を招いたものとのことである。気象研究所元研究室長で『異常気象学入門』の著者である増田善信さんは次のように言っている。「そのもとにあるのは地球の温暖化、特に北極地域の温暖化で、南北の温度差が縮まり偏西風の勢いが弱まって巨大ブロッキングが起こりやすくなりその結果である」そして更に「温暖化を防ぐ対策に一刻も早く着手する必要があり、原子力発電ではない温室効果ガス削減対策が急務です」(『赤旗』9/2)。

「原発ゼロ政府方針に」――このような見出しの一面トップの新聞記事を見た。「政府の革新的エネルギー・環境戦略の事案が六日に判明した」としての内容と今後についての要点についての記事は「原発比率は2030年には15%を下まわらせ、さらにゼロを目指す、としたが時期は空欄。ただ民主党エネルギー環境調査会が同日原発ゼロを2030年代に目指すとする提言をまとめたため今後調整を進める。(中略)国民の過半数が脱原発を望む中、今後原発ゼロの時期を大幅に遅らせたりすれば激しい反発は必至だ」(『北海道新聞』9/7朝刊)

毎週金曜日の首相官邸前での大規模な原発ゼロを求めるうねり。政府実施のパブリックコメント(意見公募)では『原発は不要』とする人84%。いずれの世論調査でも脱原発を求める国民は過半数という状況の中で財界・産業界の意向に同調しなければならない立場で、原発ゼロは言うけれどその先の約束はしないとの意思表示なのであろうか。2030年までに原発事故が発生しないという保証はない。

放射能は現在人間の持っている科学技術で無害にすることが出来ない。日本の国土の地球物理学的状況は、原発事故発生は今日のこの瞬間にも起る可能性があることが明らかにされて来た。事故発生は日本人が日本に住み続ける場所を奪う、ということを肝に銘ずべきであろう。

「ガタピシという言葉がある。戸などの建て付けが悪いこと、騒々しいこと。仏教語の我他彼此に由来する。我他彼此見といえば自分と他者とを区別する見解を抱くこと。仏教の建前からすれば無我すなわち我という執われから離れなければならず、したがって無我を前提とする以上、当然自他平等または自他不二が主張され我他彼此は排除されよう。

我他彼此は、“我と他”、“彼と此”で、二者対立するさま。対立抗争の絶えないことから物事が全てかみ合わない意味になり動きがにぶく騒がしい音をたてること」(『仏教語入門』宮坂宥勝)

原発をめぐる我他彼此は、原発による健康被害、生命強奪、生活権侵害の可能性を排除せよという要求と、政治を司る側の産業優先利潤追求優先を続けようとする我と彼の不一致によるもので本質的には極めて倫理的、道徳的な性質を含んでいると思う。

また、更に日本国憲法に照らせば間違いなく「生存権」をめぐる問題である。

よりよい生活と平和のために――という生活協同組合のスローガンを侵害させてはならない。今年は国連の定めた国際協同組合年。原発をめぐる問題をこのスローガンを軸に考えていく意味は深いと思っている。

(9月10日脱稿)

手稲山 秋雨前線 雲煙る

(文)理事長 河原克美