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「虹」第20号

カテゴリ:機関紙『虹』

虹20号

  • 新春に思う[理事長 河原克美]
  • 特集 斎藤佑樹投手の「持っている」力でファイターズ通りに元気再び
  • 誌上セミナー 高齢者の住まい(7)[専務理事 小松徹人]
  • シリーズ 生涯現役(3)[入居者 Sさん夫妻]
  • 〈その他〉イベントレポート・新年のご挨拶

新春に思う

  たとえば11月7日“立冬”、22日“小雪”、12月7日“大雪”、22日“冬至”と冬が続き2月3日“節分”で冬が終わるという天文学的季節区分は、実際の季節感では到底受け容れられないわけだが、「実際の季節区分」を気象現象に依拠して設定した書物『気象のはなし』(光田寧)では、毎日の気団の種類や天気図型を長期間調べ、月日別に出現頻度の年変化をもとにして季節区分をし、11月26日~3月1日が冬季で初冬・冬・晩冬の三つの区分を示している。

  昨年後半は猛暑の夏、残暑の秋、10月26日に初雪があったものの11月は殆ど雪なし状態で12月3日から4日にかけて猛烈な風と雨に見舞われ中旬過ぎて寒気が時折来て、積雪もようやく根雪かと感ずる年越となった。

  気象庁の『全球異常気象監視速報』によるとヨーロッパ、中央シベリア・中国北部、米国南東部では強い寒気の記録的な異常低温が続いて、12月1日オスロでは最低気温が平年より15℃も低い-15℃、フランスのブレストでは14日平年より8℃低く、ロシア中部クラスノヤルスクでは11日と12日同じく22℃低い-39℃、米国ジョージア州メーコンでは平年なら4℃なのに9日に12℃低い-8℃であったというのである。そして一方で日本は山形で6日の最高気温が平年より10℃も高い17℃を記録、東シベリアも異常高温で10日の最高気温が平年より15℃も高い3℃に達するなど極端な天候が地球上の各地で発生しているというのである。

  異常気象とは「30年に一度発生するかしないかの頻度で発生する気象現象」ということであるが、すでに30年に一回どころではなくなったので異常値が30年統計に参加すると比較する平年値が変わるわけで、気温のデータのみならず気団の性質や配置なども含めての『気象のはなし』などの季節区分は頼りにならなくなってしまうのではないか。

  異常は自然現象ばかりでなく人為的異常も顕著である。

  12月22日に公開された外交文書は「1972年の沖縄返還」に絡み約6500億ドルを日本が負担した密約、(国会の追及を恐れ)米側に具体的な金額を公表しないよう求めていたというのである。沖縄返還協定で日米合意の3億2000万ドルの日本側負担のほかにである。日本国民は知らされずに今日に至ったわけである。この国民を欺く行為で誰が責任をとるのか。

  一方、中国漁船による海上保安庁の巡視船への体当たり事件の映像が外部に流出したことから守秘義務違反として関係者が処罰された。国民の知る権利と非公開指令との矛盾についての解明は寡聞にして届いていない。

  今、ウィキリークスというグループが厖大な国家的機密を世界中に暴露し始めて、米軍のヘリコプターにより上空から射殺される民間人の姿をTVで見て慄然としたが、個人の権利として秘匿すべき情報を除けば、情報が公開されるのを望む声は大きい。あらゆる情報を権力が管理しようものなら、「この道はいつか来た道」になってしまうと思うのだ。生協のスローガン「よりよい生活と平和のために」は押しつぶしてはならない。

  政府は来年度国家予算案を決めた。財源不足がいわれる中で法人税率5%引き下げがあり、消費税引き上げは肚の中に納めて後期高齢者医療制度も先送りのままである。

  世界的に著名な言語学者、アメリカのノーム・チョムスキーは1990年代に政府の大企業に対する税金投入を次のように言っている。「大企業に“政府補助金”が給付される場合これは“大金持ちのための福祉援助”を差し障りない表現に言い換えたに過ぎないのだ」。法人税率引き下げはこの場合の“政府補助金”と同じである。

  年が明けて新春というが春はまだ先のことである。北国の冬は寒くて長い。春待ちの気持ちの思いは強い。雛祭りに桃も梅も間に合わない。雪は降りながら融けながら次第に沈んで、あと少しと思う頃自分の体温で雪を融かしたかのように残雪を円く融かして福寿草やクロッカスが姿を見せる。春の喜びを感ずるひとときだが、人びとの暮らしにも春が訪れてほしいと、しみじみ思う新春である。

降る雪に 皆それぞれの 春想う (愚作を一句)

(文)理事長 河原克美