HOME  »  福祉生協イリスからのご案内  »  機関紙『虹』  »  「虹」第17号

「虹」第17号

カテゴリ:機関紙『虹』

虹17号

  • 春という季節に[理事長 河原克美]
  • 誌上セミナー 高齢者の住まい(4)[専務理事 小松徹人]
  • ご案内 在宅の介護サービスを始めます
  • 〈その他〉アンケート結果報告・イベントレポート

春という季節に

  『理科年表』(平成22年版)記載の至近30年間の月平均気温を見ると札幌では2月がマイナス6.7℃、3月が-0.1℃で四月が6.7℃。10月11.3℃、11月が4.6℃で12月が-0.1℃となっている。立冬あたりから1日の平均気温が5度以下になって来て植物は冬眠に入り、厳しい冬を越えて3月までは目覚めることもなく、4月上旬に1日の平均気温が5℃を超えるようになると雪の下から福寿草やクロッカスが愛らしい花を、3月にはキタコブシが白い花を開くと7ヵ月の植物期間の始まりである。

  津軽海峡に隔てられた「内地」の方では、こちらが雪に埋もれている時期に福寿草や梅や桃が咲く。昔から梅は春の訪れを象徴する花と親しまれて来たとはいえ、北海道では梅が春の象徴として重きを為さない。――梅桜競いて咲けり藻岩山(拙作)――のとうり北海道の春は梅も桜も一緒に花を見せるからである。

  この冬は暖冬であった。札幌では2月5日からの雪まつりに入る直前に、毎年の降雪の合計つまり累計降雪量は3.8mだと報じられた。平年のひと冬なら5.8mだったと記憶しているが、その後の雪を意に留めながらの観測ならぬ感測ではこの冬は5mを切るのではないかと思われる。

  3月から4月に入ると札幌も本格的に春となる。梅も桜も平年は5月5日が開花日で同じ日。去年は梅が一日遅れをとった。花の名を挙げれば際限がないほどの花が咲く、まさに百花繚乱の季節である。

♪ この道はいつか来た道 あゝそうだよ アカシヤの花が咲いている

  北原白秋が大正13年に訪れた札幌の情景を詩にあらわし山田耕筰が昭和2年に曲を作って日本の代表的な歌曲となったが、この季節のこの街を優しく讃えてくれている。

  閑話休題。平成22年度の国家予算は今年度中に決まる見通しであると報じられていたが、その矢先のこと。2008年度の国民健康保険の保険料の納付率は1961年に国民皆保険制度となって以来最低の納入率となったというのだ。札幌市なら夫婦と子供2人の場合所得額300万円で保険料は41万3千円。最高は福岡市で44万8500円である。沢山の失業者、学窓を巣立つ人たちにも求人の枠は冷たく「派遣」問題も未解決ではないか。即時撤廃を公約に掲げた後期高齢者医療保険は4年後に新制度へと引き延ばし、65歳以上の高齢者を組み入れて差別医療対象者を増加させる案が厚労省の「改革会議」に示されたという。子供手当は支給するが扶養控除を適用せず税金で取り立てる。社会福祉のためにと始まった消費税はどこへ行ったか。財源不足というが税収不足の財源に大企業に何を求めたか。防衛費という名の軍事費はほとんど防衛省の要求どおりではないのか。「専守防衛」を任務とする自衛隊に1隻1200億円もする大型ヘリの母艦が必要なのか。米軍に関わる「思いやり予算」はどうなっている。福祉の財源をこれらに求めなかったのは何故だろう。不信の思いは募るばかりである。

  仏教の方の言葉に「遊山」というのがある。世俗には物見遊山などと転用されている。出家者が修行場である山々を遍歴し修行を積むことを指している。道元は『正法眼蔵』の中に「霊雲志勤禅師は三十年の弁道なり。あるとき遊山するに山脚に休息して遥かに人里を望見す。ときに春なり。桃花の盛りになるを見て忽然として悟道す」と書いた。

  厳しい修行を30年重ねても悟ることが出来なかったが春の盛りの桃の花を見て瞬時に悟りを得た――という故事である。

  今は春。国政を司る人々に突然の悟りを願いたいと思うのだが。

(文)理事長 河原克美