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「虹」第15号

カテゴリ:機関紙『虹』

虹15号

  • 秋に -月と秋の嵐-[理事長 河原克美]
  • 特集 園芸セラピー[園芸療法士 吉崎俊一郎]
  • 特集 お手軽・脳のトレーニング
  • 誌上セミナー 高齢者の住まい(2)[専務理事 小松徹人]
  • 〈その他〉北8散歩(ファイターズ通り)・喫茶コーナーより

秋に -月と秋の嵐-

  秋は立秋から立冬の前日までとすると今年は8月7日から11月8日まで、秋を秋分から冬至までとすれば9月23日から12月22日となって実感する秋からはいずれも早過ぎたり遅過ぎたりである。そもそも地球が太陽のまわりをめぐる軌道上の位置で決めた二十四節気で季節を区切ろうとすることに無理があって、人がその季節を体感する時期の固有の気候条件や生物の変化の態様により区分するのが自然だと思う。

  『気象のはなし』(光田寧編著)によれば毎日の気団や気圧配置を長期間調査し、4つのタイプに分けて出現頻度の年変化をもとにするのがあって、この方法による日本の秋は8月21日から9月12日までが「初秋」、このあと10月10日までが「秋雨」、11月4日までが「秋」、11月26日までが「晩秋」で、四季の一つである秋は8月21日から11月26日までということになっていて大変説得力がある。しかし季節の境目には区切りがあるのではなく季節は移ろうものであるから、実際にはこれを目安にして「今年は秋が早い」とか「今年の冬は遅い」とか言うようになるのではないかと思う。

  秋の気象を特徴づける現象はまず「秋の嵐」つまり台風である。もとは颱風と書いたが戦後は当用漢字で台風と表すようになった。台湾方面で発生することが多いので台風だ、というのは俗説で、中央気象台長だった岡田武松(1874~1956)がtyphoonを颱風と訳字したというのが定説になっていて、詩歌で「秋の嵐」といえばこの颱風を指している。

  秋、日本人の感性と信仰心は月に向って発露し秋を特徴づける。昔から月を鑑賞の対象とし、月に豊作を願い収穫の感謝を捧げて来た。

   木の間より移ろふ月の影を惜しみ 徘徊るに さ夜更けにけ (『万葉集』巻十一)

と、木漏れの月を賞でて彷徨する男女が詠われれば、

   月見ればちぢに物こそ悲しけれ わが身一つの秋にはあらねど (『古今集』秋上)

と、月を悲愁をもたらす対象として詠う。

   月漏らぬ谷の杉生の柴の戸を 秋の嵐の問ふぞうれしき (『出観集』)

――今の環境はひどいものだ。月の光さえ漏れて来ない。そんな境遇だから、いやだと思っていた嵐でも来てくれたのはうれしい――というわけである。

  衆議院議員選挙も終わった。余りにもひどかったので政権の担い手が代る結果となった。「今回の選挙結果は、小泉構造改革の負の遺産、度重なる首相交替劇に辟易した國民が、ばくぜんと政権交代を望んだという声がある」と9月5日の『北海道新聞』にあった。――いやだと思っている嵐でも――新しい政権が自覚すべき姿勢への指摘であろう。

  平和は生活の基盤。國民生活の向上と世界の平和のために力を尽くしてほしいと願うや切である。

茜さす 雲のはたての 恵庭岳 (愚作を一句)

(文)理事長 河原克美