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「虹」第13号

カテゴリ:機関紙『虹』

虹13号

  • 春から夏へ -PMFから考える-[理事長 河原克美]
  • シリーズ 失語症について(3)[言語聴覚士 高橋育子]
  • 特集 イリスもとまち「図解 がーでんまっぷ」
  • 〈その他〉園芸マメ知識・北8散歩・アマとホップがそよぐフラワーロード計画

春から夏へ -PMFから考える-

  北国の春は今たけなわである。5月初めの桜の開花宣言。梅桃桜が同時に咲く北国の春である。ライラックやアカシアが咲けば季節は春から夏へと移ろう。

  6月、「札幌祭」。「北海道神宮祭」のことである。そして今では北海名物になった「YOSAKOIソーラン」が札幌の街を賑やかにする。7月は趣を一転させて、20世紀の巨匠(マエストロ)レナード・バーンスタインの提唱により創設され、毎年1カ月間開催される国際教育音楽祭PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)である。著名な指揮者やウィン・フィルの首席奏者をはじめ、世界を代表する音楽家を教授陣に迎え、世界各地からオーディションにより選抜された、若手音楽家を育成する教育プログラムと、会期中に展開する教授陣や若手音楽家(スチューデント)による各種の演奏会やN響・札響、海外からの一級のオーケストラも参加してこの祭典は盛り上がり、市民は人それぞれに選択して鑑賞する。

  クラシック音楽がヨーロッパから急速に地球上に拡がったのは、第二次世界大戦後のことである。世界的な交通手段の発達と普及により人間の大量移動が可能となり、しかも移動時間の大巾な短縮が実現し、戦前は夢であった外国のオーケストラの公演は夢ではなくなり、個人のアーティストが地球上のあちこちで演奏するようになったのも当然と言うことになるだろう。

  しかし、わが身をふり返って考えてみても戦前からレコードという記録媒体を通じて音楽愛好家は常に増え続けて、「生(なま)で聴きたい」と思う愛好家が育っていた上に人間の大量・短時間移動が可能になり、今日の音楽の世界が成立したと見ることが出来ると思う。だが極めて基礎的な成立基盤は「平和」と「豊かさ」であると考える。

  いつ、どこから弾丸が飛んで来て殺されるか知れない国や地域で、あるいは飢餓線上の生活を強いられている国や地域で外国からオーケストラを招いて聴くだろうか。今年の夏もPMFが開催されるのも戦争をしていないから。大量の失業者を生み国家財政「極貧」になっても、音楽愛好家が聴くことを放棄しない程度に辛うじて保っているからだと思うが、この「豊かさ」は「戦争」によって奪われてしまうものであろう。

  満89才の女優・森光子さんは自叙伝『人生はロングラン・私の履歴書』に次のように書いている。

  「戦争を知る人は、幸せの根底にあるものは平和だともっと大きな声で言うべきだと思います。なぜなら平和でなければ誰も幸せになれないのですから」以て銘すべし―である。

(文)理事長 河原克美