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「虹」第8号

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虹8号

  • また夏が来た -この夏の感慨-[理事長 河原克美]
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また夏が来た -この夏の感慨-

  季節はめぐって今年も夏になった。今年の夏は冷夏なのか猛暑になるのか平年並みなのか、予測が報ぜられても確信を持てないのは、この1年の気象のあらわれ方が不安定で、地球全体の温暖化現象があちこちに異常気象を起こしたのではないかと感じているからであろう。

  二酸化炭素は炭酸ガスともいうが地球温暖化の原因となる代表的な温室効果ガスで、温室効果の6割強が、このガスによるものとされている。が、1760年代イギリスに始まった産業革命が1830年代ヨーロッパ諸国に波及して、以来石炭や石油の大量使用と大規模な森林破壊が原因でその排出量は増加傾向が続いているわけである。

  この1年間の新聞やTVなどが教えてくれた地球温暖化による影響は南北両極を取りまく厖大な氷も高地の氷河も地下の永久凍土も融けている実態は、「世界の二酸化炭素の排出量は2000年から04年にかけて年3.2%の比率で増加し、1990年から99年までの年増加率1.1%に比べ急激に拡大していることが、米オークリッジ国立研究所と欧州、オーストリアなどの国際研究チームの解析で分かった」(『北海道新聞』6/10朝)という報道と併せて考えると、年3.2%のまま二酸化炭素の排出量が推移したなら、今から20年後には2倍の排出量になってしまうことがわかる。二酸化炭素の排出量を炭素換算して1980年に約50億トン、2004年には73億トン強。今から20年後なら150億トン近くになってしまう。一体その影響はどのように現われ、人間はどのような暮らしをするのだろう。

  こうした不安を懐きながらいずれ「サミット」とやらで解決するのだろう、と漠然と思考を放棄してしまいたくなるような重い課題であることに気づく。

  しかし夏はいつものようにやって来た。札幌の春から夏への誘いはライラック祭り。6月に入ってからはヨサコイ・ソーランで3万何千人という踊り手たちで札幌の街に活気があふれ、6月15日は「札幌祭り」と言われてきた北海道神宮祭だがヨサコイ・ソーランの迫力に押されて影がうすくなったが、もともとが宗教行事であるから比較するのは不謹慎というものだろう。7月は国際音楽教育プログラムの1ヶ月。パシフィック・ミュージック・フェスティバル。世界じゅうからオーディションを勝ち抜いた29歳までの100名余の若手演奏家が、ウィーンやベルリンなどのオーケストラの奏者たちの指導を受けつつ腕前を披露する。今年は名声高いリカルド・ムーティが指揮者に招かれて若手の演奏家のオーケストラを指揮する。市民は1ヶ月の間に開催される40余りの演奏会に好みに応じて足を向ける。「芸術の森」での野外コンサートも盛り上る。森に囲まれた芝地とステージがコンサート・ホールの代りだが夏の樹木が陽に映えて美しい。

  ポプラも白樺も俳句では夏の季語ということになっている。冬のポプラもいいのにと思うが葉の繁った枝が風に揺れる様子が採用されたのだろう。白樺は木肌の白に緑が映える美しさによるものと思われる。その本名は「シラカンバ」。『新日本植物図鑑』(牧野富太郎)によれば、「カンバはこの類の古名カニハからの転化でカバは略号である」とある。空気のきれいな原野やゆるやかな傾斜地に天に向って真直に伸びた白くすらりとした姿を女性的な樹と言うことがある。マカバやダケカンバという樺の仲間が寿命200年から300年だというのにシラカンバは70年から80年ほど。美人薄命というわけである。

  アイヌ民族出身の知里真志保先生による『分類アイヌ語辞典』によればシラカンバはアイヌ語で「retattat-ni(retat-tat-ni)[レたッ・タッ・ニ]と言い「白い樹皮の木」の意味であることがわかるが「早春、樹幹に傷をつけそこから流れる樹液― いわゆる[たッニワッカ]=(樹皮の水)を容器に入れて飲んだり、或いはそれにザゼンソオを煮つめて食う」とあり「樺太ではこの樹液を放置しておいて寄せ豆腐のように凝固したものを“樺木の乳汁”といい云々」で酒を造ったことが解説されている。白樺の利用法がこの解説にあるのが主流であった時代は去って久しいであろう。

  この夏の入口でのショックは、かねて覚悟していたが住民税の定率減税全廃と昨年の所得税の定率減税全廃のはね反りで6月からの住民税が物凄く高くなったことである。これが小泉内閣時代に進めた「税制改革」の総仕上であった。5,000万件にのぼる年金迷子や不払いの責任の所在を明らかにしないまま年金事務を民間に委ねることを押し通し、「国家的詐欺」と国民に言われても恥じないのはどういうことなのか。「人びとを不幸にする為政者が悪いというが、彼らを政治の舞台に送ったわれわれ選挙民は免責されるのか」。イラク帰りのアメリカの兵士のことばだが、アメリカに限ったことではない、と思うのだ。

白い幹に 緑映して 夏盛ん (愚作を一句)

(文)理事長 河原克美