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「虹」第3号

カテゴリ:機関紙『虹』

虹3号

  • さわやかな季節に -平和はくらしの基礎条件-[理事長 河原克美]
  • もとまち小史

さわやかな季節に -平和はくらしの基礎条件-

  桜が先で梅が後になるか。開花日逆転の可能性が報ぜられていたが、情報をつかまないまま春たけなわの季節の中に身を置いて、建設中の“イリスもとまち”の中身づくりと生協運営の実務に当たっている今日この頃である。

  時折引き合いに出している『理科年表』(東京天文台編)の「生物季節観測平年値」に書かれている「サクラ」は基本的には「ソメイヨシノ」で道外76観測地のうち74が「ソメイヨシノ」、名瀬と那覇だけが「ヒガンザクラ」。道内10ヶ所の観測地のうち札幌と函館だけが「ソメイヨシノ」で他の8ヶ所は「エゾヤマザクラ」と樹種が指定されている。「ウメ」は樹種の指定がなく「ウメ」とあるだけで不思議に思ったが『牧野新植物図鑑』(牧野富太郎’40刊)を見ると和名でただの「うめ」があって「支那原産。おそらく古代日本に渡ったものであろう。早春にほとんど無柄の花を開く。花は通常白色。紅色、淡紅色のものも。また一重咲き八重咲きもあり園芸品種は300以上もある。がく片は5、花弁も5、水平に開く」とある。ほかに「うめ」はないかと見れば「やつぶさうめ」「こうめ」「りよくがくばい」「ぶんごうめ」が「うめ」の変種と記されているので生物季節観測地を決めるウメはこの牧野図鑑にあるただの「うめ」で、白か紅か、一重か八重かに関わらず一番早く花を開いた「うめ」が観測地の開花宣言の栄に浴するのだと思われる。

  5月3日は憲法記念日。「あたらしい憲法のはなし」という小型の教科書が出てきて平和憲法というものを学んだ少年時代が懐かしい。あれから60年になろうという今、「教育基本法“改正”」や「共謀罪法案」が国会に出され「国民投票法」が論ぜられ、「米軍再編の日米最終合意」があり、国民の基本的人権を侵害して国家権力に従属させようとしている点で憲法を「改正」し戦争への道を開こうとしている意図が露骨に見てとれる。憲法第99条は「憲法尊重擁護の義務」をうたっている。「天皇または攝政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員はこの憲法を尊重し擁護する義務を負う」と。一体これはどうなっているのだ。

  5日、子供の日。この憲法が出来た年までは男の子の日で「端午の節句」であった。唐の時代から続いた節句が入って来たもので金太郎ならお愛嬌だが加藤清正が出て来ると次は軍服姿の人形が登場するのでは、と心配になってしまう。

  今年は14日が第2日曜日。「母の日」という輸入品の生活行事で近年カーネーションに限らずバラなども母親に贈られるが、札幌の「ちざきバラ園」の方はまだ早すぎて6月から最盛期に入る。5月下旬は何といってもライラックで北大の附属植物園や大通公園は有名だが住宅地でも到るところで馥郁たる香りを漂わせてくれる。百合が原公園のユリは夏の訪れを知らせてくれるが春からの繋ぎ役はチューリップが好評である。

  こうして北国は春から夏へと移って行くが津軽海峡から南の方で梅雨に悩まされる時季は「空梅雨」で『理科年表』の「梅雨入り・梅雨明けの平均値」に全国を12地域に区分した30年間の平均の日が出ているが北海道はどの地域にも入っていない。つまり、そういう気象状況は統計にするほど顕在しないことを暗に表しているわけである。実際にこの時季はさわやかな夏の日が多い。季節のうつろいを楽しめるのも戦火にさらされていないからである。平和はよりよい生活を求める基礎条件だ。だから福祉の基礎条件は平和であること。肝に銘じて生きて行きたい。

風吹くか ポプラアカシア ライラック (愚作を一句)

(文)理事長 河原克美