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「夏休み子ども科学電話相談」を聞いて
出勤途中の車中で「夏休み子ども科学電話相談」を聞いていると、小学生の男の子から、「なんで生物は多様性なのですか」との質問がありました。
お答えいただいた中村桂子先生からは、「生物はずっと生を繋ぎ続けていきたいのね。一種類だけだと何かあった時にいなくなってしまいます。五億年前には、地球が全部凍っちゃったようなことがありました。その後、氷が解けて、多様な生き物がパッと地球上に生まれました。カンブリア大爆発といわれています。生物は、多様であることがとても大切です」と、お答えがありました。
あとで、カンブリア大爆発を少し調べてみると、全球凍結(スノーボールアース)終了の後、カンブリア紀に現在地球上に存在する三十八の動物門すべてが一気に誕生したことが、化石調査で明らかになったそうですが、最近の研究では、カンブリア紀以前の先カンブリア紀に、既に殆どの動物門が誕生していたらしいのです。
いずれにせよこの時期に、爆発的な進化が生じるために、「きっかけ(最適な環境)」がいくつかあったそうです。
最近は、高齢者の住まいも、多種多様な住まいが次から次へと誕生し、カンブリア紀のようです。
第一の「きっかけ」は、平成十八年四月から行われた、特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム)の総量規制です。地域(札幌市も)によっては、介護付き有料老人ホームが建てられなくなり、その結果、住宅型有料老人ホームが急激に増えました。
住宅型は、そもそも住居を基本としたホームですから、「どのようなサービスを提供しなければならないか」といった規制は、殆どありません。サービスは、ホーム独自のものと、外部の介護保険事業所やホームに併設された訪問介護などを組み合わせて利用します。そのことから、サービス内容を異にした、様々なホームが生まれるきっかけとなりました。
次の「きっかけ」は、平成二十三年十月施行の「サービス付き高齢者向け住宅」の誕生です。建設費の補助などにより、爆発的に増えました。
サービスの利用の仕方は、住宅型と同様で、事業者の創意工夫で、様々なホームが生まれ続けています。
これらのことは、私たちにとって、選択肢が広がることと、多様であるという点で望ましいことでしょうが、高齢者の住まいは、二〇〇〇年以降に誕生したものが殆どで、環境の変化を何度も乗り越えた、強い種としてのホームばかりではないでしょう。
少子高齢社会の課題を抱え、国民的議論が少ないまま、社会保障制度が大きく変わり続けていくことになるのでしょうか。
私たちの生協は、一つひとつのホームが強く、多様なホームにすることで、環境の変化を生き抜いていこうと決心しています。
(文)理事長 小松徹人